学校経営の重点
本校の伝統は、旧制神戸一中初代鶴崎校長の創業の精神である鍛練主義と生徒自治を主体とする教育方針と、第2代池田校長のパブリックスクール的経営方針とが統合・凝集された「質素剛健」「自重自治」の四綱領に象徴されている。
これに相応するように、旧制県一高女では、初代永江、第2代篠原両校長により、「質素・良妻賢母・自治」の精神が醸成されていたが、新学制のもとで高校として統合発足の際、初代高山校長によって先の四綱領に包摂され、さらにアカデミックな気風、男女共学の理念、国際親善推進の方針が確立されて、人格教育を標傍する伝統に新しい生命が与えられ、今日の校風が形成された。
神戸高校第2代三浦校長をはじめとする歴代校長は、絶えず伝統の再認識を図るとともに、施設の拡充整備と教育内容の充実深化に努めて、神戸高校(以下「神高」という。)の教育の高揚と校風の進展をめざして経営にあたってきた。
平成9年以来国の方針となった教育改革は、本県においても高等学校の長期構想検討委員会報告として進む方向が具体的に示された。本校は、卓越した伝統を引き継ぐとともに、新しい時代にも確固たる位置を占める学校であるべく、本校の将来像を検討しながら、意欲的な教育活動の展開を目指している。
本校校舎、記念室、正門、おおとり門、楠薫園、校木・校花等、本校のシンボルに思いを馳せさせながら、各種の教育活動や伝統的行事を通じて、校風の一層の発展を目指す。
本校の伝統について常に新たな見直しを行いながら、何事にも積極果敢に挑戦し、自ら鍛え、厳しさに耐え抜く意志力・実践力を磨くという神高精神の継承発展を目指す。
優れた資質を有する生徒がその個性を伸ばし、豊かな自己実現を図ることができるよう、深く伸びやかな教育活動を展開する。特に、文部科学省研究指定「スーパーサイエンスハイスクール」事業の成果を生かし、総合理学科を中心として、国際社会で活躍できる自然科学に強い人材の育成を図る。また、(県立高校)魅力アップ推進事業、(高校生)ふるさと貢献活性化事業、(高校生)就業体験事業を通し、地域社会との連携を深める中で、生徒一人一人が社会の有為な形成者になるという自覚を育てる。
社会が大きく変化し、先が見えにくい時代にあって、未来への道を切り開くことのできる力を育成する。
学び方を含めた基礎・基本を重視するとともに、情報化の進展、国際交流、環境問題等の今日的課題に関心を持ち、積極的に取り組むことを促す。
さらに、本校独自の国際交流事業等を中心に、日本の文化に誇りをもってこれを発展させようとする意欲や他の文化を理解し尊重する態度を育成する。
自然への畏敬の念と自然を愛する心を育む。また、自他の生命と人権を尊重し、共にたくましく生きる力を育む教育の推進を図る。
常に災害や事故に対する備えについて心がけるとともに「共生」の心を育み、生涯を通じて安全な生活が送れるよう震災の教訓を生かす防災教育の推進を図る。
2007.11.07公開 2019.7.16更新
魅力ある取り組み
1 学業・部活動・学校行事に全力で取り組む
本校生徒の多くは国公立大学への進学を希望しており、ほぼ100%の生徒が大学入学共通テストを受験する。しかし、その学校生活は受験勉強に明け暮れているのではなく、殆どの生徒が運動部や文化部の部活動に取り組み、勉学との両立を行いながら自己実現を目指している。 また、自治会(生徒会)が中心となって伝統のある学校行事の企画から運営までを行っている。
進路指導においても目先の受験指導に陥らぬよう21世紀の中核となりうるリーダーの育成を目指している。
2 スーパーサイエンスハイスクール(SSH)及び科学技術人材育成重点枠指定校
平成16年度からスーパーサイエンスハイスクールとして指定を受け、令和5年には5期目の指定(3カ年)を受け、理数教育の研究開発に取り組んでいる。
令和元年度科学技術人材育成重点枠(広域連携)に採択された(4カ年)。兵庫県の中核として県教育委員会・高校・大学・企業等のネットワークを形成し、SSHの成果を普及するとともに、科学技術人材の育成を目指した事業を展開している。
3 高校生ふるさと貢献活動
旧制高等女学校からの伝統を受け継ぐ音楽会は、レベルの高い各学年の合唱コンクールを勝ち抜いた代表クラスによるコーラス、邦楽から管弦楽まで多様なジャンルの各音楽部の演奏や個人演奏等のプログラムを含む。毎年、地域の方々にも鑑賞していただき地域との絆を育む行事となっている。
4 高校生就業体験事業
各界で活躍する卒業生や各方面の専門家を招き、進路選択に関わる講演会を実施して、文理選択や進路について意識の深化を図る。全校講演会では、卒業生及び企業人による講演を実施し、職業観を養い、社会に貢献できる人材育成を目指したキャリア教育を実践する。
5 県立高校魅力アップ推進事業
(1)高大連携
総合理学科で実施していた課題研究を普通科でも実施、大学教授の協力をいただき、高大連携を深めるとともに社会貢献に寄与する態度を養う。
(2)国際交流
グローバル人材の育成を目指して、イギリスとシンガポールにある姉妹校との交流を継続する。また、海外の学校等とオンラインによるものも含め広く交流活動を行う。さらに、課題研究の成果について英語でのプレゼンテーションを行い、専門家やALTの英語による質疑を受ける。
(3)東京キャピタルツアー
大学・中央省庁・国会・東京証券取引所等を訪問して大学院生・職員による講話や外交官によるガイダンスを受け、日本の学問・政治・経済・外交について体験的に学び、国際社会で活躍できる人材の育成を図る。
(4)伝統行事の継承
創立記念祭、新入生歓迎宿泊登山、耐寒登山マラソン等、本校の伝統的な行事を実施する中で、その意義を理解し「質素剛健」「自重自治」を体現する人間形成につなげる。